ヨーロッパでは古くより、ポマンダーと呼ばれる植物を使った忌避(きひ)剤が暮らしに欠かせないものとしてあります。日本では、クスノキから作られた樟脳(しょうのう)や除虫菊を使った蚊取り線香などがあります。ナンテンやハラン、クマザサなどは、冷蔵機器のない時代には必需品でした。
食べ物の保存剤として、祝い事がある時に炊く赤飯には、折の中にナンテンの枝葉が添えられました。見た目も情緒的で、美しいだけでなく、ご近所に配る際に腐ることのないようにという配慮がなされていたのです。ハランは、葉に細かく切れ目を入れて惣菜の仕切りにされます。切れ目を入れることにより殺菌効果の高い物質をより多く発散するようにします。ササやタケの皮は、食材を包む役割で、保存効果も兼ね備えたといえます。
自然の植物の力を活用したこのような安全な素材は、今後さらに見直されてくるでしょう。都市部を中心に、害虫や病気が増えつつある現在、日本原産の植物だけでなく、ガーデニングで育てることのできるものは、さらに普及していくことが期待できます。簡単な加工や工夫が必要なものが多いですが、これもガーデニングの楽しみです。不織布の袋や洗濯に使うネットなどを活用すると簡単です。
アロマセラピーの効果がある植物
アロマセラピーとは、植物の芳香成分によりリラックスさせたり自己治癒力を高める自然の療法をいいます。ヨーロッパでは、ペストが流行した際にカモミールなどを使って殺菌したりしました。使い方は植物の精油を抽出し、アロマキャンドルとして温めて香りを拡散させたり、入浴剤として活用しました。
日本ではカツラの葉を香として焚くなどが有名です。鎮静効果もあります。世界中でそれぞれの地域の植物を活用してきた中で、最近特に人気が高まっているものに、オセアニアの植物があります。ユーカリをはじめフトモモ科の植物には効果の高いものが多いからです。乾燥にも強く、鉢植えで長期間育てることができるので、マンションのベランダやテラスでも育てることができます。インターネットのホームページで簡単に効果を調べることができるのもありがたいですね。