秋は春とともにガーデニングの最盛期
四季がはっきりと移り変わる日本では、初秋から晩秋にかけての約3か月間は、さまざまな楽しみがあります。
「収穫の秋」「食欲の秋」「芸術の秋」など、私たちは昔から秋を楽しんできました。
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暑い夏が過ぎ、アキアカネが秋空に舞い、稲穂が首を垂れてきた姿を見て、少しずつ秋を感じます。古典で枕草子にも詠われたように、秋は夕暮れが一番美しいといえます。確かに「秋の七草」に詠われたススキやフジバカマ、ハギも、昼過ぎからの光で観賞した方がより美しく感じます。くらしの庭を設計する際には、ぜひ夕陽のあたる場所には秋の情緒性の高い植物たちを演出しておきたいものです。
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日本の秋庭は、「情緒」と「借景」がキーワード
日本の秋庭をデザインするときには、まず、「情緒」と「借景」という言葉をキーワードに考えておくとよいでしょう。辞典をみると、「情緒」とは、事に触れて起こるさまざまの微妙な感情。また、その感情を起こさせる特殊な雰囲気とあります。英語ではatmosphere 「雰囲気」、emotion、sentiment「感情」になりますが、とても説明が難しい精神的な意味合いが含まれているように思います。
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次に、「借景」ですが、造園技法のひとつ。庭園外の山や樹木などの風景を、庭を形成する背景として取り入れたものとなり、英語では、surroundinglandscape「囲まれた環境や景観」です。これも、英語では表現しきれない日本人独特の美意識感情を感じます。つまり、「情緒のある庭づくり」「借景を活かした庭づくり」ということになります。春から夏の花と異なり、秋の花は控えめな色彩、形状をしているものが大半です。自然の紅葉に彩られた自然の山に出掛け、美しい森の中で、美的感覚を体感しながら育てることもガーデンデザインには必要です。
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