そう、花木にはプロセスがあるわけで

 

 

 

 

 

穏やかな優しい風の中で
ほころび始め
じっとり止まぬ雨にも打たれ
どこへゆくのと振られる風におびえ
息も止めたいあの暑さにも真っ直ぐに上を向き
虫の音にしばし安らぎ
押し込んでくる冷えに役目はそろそろと力を抜いて
咲き誇った君を忘れる頃に
実らせる
誰かのためにと
地べたに舞い落ちれば、懐かしき香りに
そっとそっと眠るだけ

おんなじ場所でなくたって
おんなじ顔でなくたって
おんなじ思いでなくたって

君たちはまたつないでゆくんだね

 

 

 

 

 

ありがとう
さよなら
そして
ありがとう

空に力いっぱい真っ直ぐに向かう君を
またねと見送る

季節は駆け足。

花水木
またねぇ