あのね
ボクはね、きのこ
名もなき きのこ
ボクはお母さんちの庭の苔の下で埋もれてたんだ
雨が降って
お母さんは空をあおいで溜息をついてる
それでも雨は続いて・・・
自転車に乗れない毎日
お母さんはぼんやり
ボクはね、お母さんを励ましたくて
埋まってきた力をバネに
頑張って顔を出したんだ
朝、何時ものように庭を眺めるお母さん
「あっ、きのこ!食べられ無いけど可愛い」って!
そして、誉めてくれたんだ ボクのこと
「偉いねぇ~
強いね~
あんたの頭の上の玉石、乗っけたままで顔出したん?」
「偉いねぇ~
強いね~
そして
あいがとうね~」
お母さんはいつの間にか涙声で
何度もありがとうと声かけてくれたんだ!
そしたら ボクも言ったよ
「気付いてくれて、ありがとう!
ボクにはかなり重い黒の玉石だったけど
ちょっと踏ん張ったんだ!」
「友達もいるんだよ!」
雨はお母さんの大好きな蒼空に会えなくて淋しだろうけど
これからは 地べたで頑張ってる 僕らの仲間を見つけてくれるね
また 頑張るから
空からも
地べたからも
みんな、見てるよ
みんな、仲間だもの!