環境保全区域で違法な庭をつくるとどうなるか(5)カッコウの巣の上で

本ブログ内容を Google AIで,“The deep dive(深堀)”というYouTube記事に編集し公開しました。


前回とりあげた「人工芝運動」について,この運動の裏にある疑惑を掘り下げます。

広瀬川環境保全区域では,「広瀬川1万人プロジェクト」という,仙台市が「広瀬川創生プラン」(2005年から2014年,2015年から2024年(中間見直し版),さらに2025年から2034年まで続く)という行動計画で支援している団体活動があります。

この団体の活動は現在進行中の広瀬川創生プラン2025-2034のパンフレットに記載されていて,

図1 広瀬川創世プラン2024-2034パンフレットより
図1 広瀬川創生プラン2024-2034パンフレットp.24より

年2回2時間ずつ,つまり,「年間4時間」の清掃活動がほぼすべてです。

図2 広瀬川1万人プロジェクト 河川・海岸一斉清掃パンフレット
図2 広瀬川1万人プロジェクト 河川・海岸一斉清掃パンフレット

それでは,広瀬川1万人プロジェクトで大々的に「宣伝」している清掃活動(図2)の中身について,10カ所の会場のうち澱橋(よどみはし)会場(図3)

図3 広瀬川1万人プロジェクト 澱橋会場-集合場所(角五郎河川敷)と澱雨水ポンプ機場(Google Earthより)
図3a 広瀬川1万人プロジェクト 澱橋会場-集合場所「角五郎河川敷」と臨時駐車場になった澱橋河川敷。遊歩道のある3mかさ上げされた堤防は,上流の大倉ダムとともに河川氾濫の砦となり,「澱雨水ポンプ機場」はここより上流住宅側への雨水を下水からくみ上げ広瀬川に放流し内地浸水被害を防ぐためのもの(Google Earthより)
図3b 広瀬川1万人プロジェクト 澱橋会場 清掃エリア(広瀬川河川公園の広瀬川澱緑地から上流の牛越橋をわたり広瀬川牛越緑地に至る往復約 4km,牛越緑地には駐車場があるので市民が芋煮会するメイン会場,また,周辺には日本の水力発電発祥の地、そして東北で電気の明かりが初めて灯った場所三居沢発電所や幼児から小学生まで、自転車やゴーカートを利用し、楽しみながら交通ルールを学べる三居沢交通公園があります)
図3b 広瀬川1万人プロジェクト 澱橋会場 清掃エリア(広瀬川河川公園の広瀬川澱緑地から上流の牛越橋をわたり広瀬川牛越緑地に至る往復約 4km,3000㎡の「ゴミがほとんどないエリア」。牛越緑地は市民が芋煮会する際のメイン会場。また,周辺に「日本の水力発電発祥の地、そして東北で電気の明かりが初めて灯った」三居沢電気百年館(三居沢発電所)や「幼児から小学生まで、自転車やゴーカートを利用し、楽しみながら交通ルールを学べる」三居沢交通公園があり,家族連れ中心に一番人気の清掃エリアであることが理解出来る),Google mapより
図3c 年に数回,河岸~河川敷は宮城県が重機を使って,遊歩道については,仙台市,宮城県(堤防法面),町内会で除草(清掃)している
図3c 広瀬川1万人プロジェクト 澱橋会場清掃エリアについては,年に数回,河岸~河川敷は宮城県が重機を使って,遊歩道については,仙台市,宮城県(堤防法面),町内会で除草(清掃)している

の実際の活動内容について時系列で見てみると,

  1. 河川敷への車止めを撤去し,集合場所(図3a「角五郎河川敷」と表示あり)にテントを設営
  2. 参加者(219人)は澱橋河川敷まで車で乗り入れテントで受付
  3. 10時くらいに主催者が挨拶したあと,2時間周辺を散策しながら清掃活動(図3b)
  4. 12時に清掃活動終了,219人で集めたゴミの数は7個(というが,7個もあったのが不思議。河川敷は県が重機を入れ定期的に除草しており,そのたびにゴミは草と一緒に撤去され(図3c),堤防の法面についても,市が依頼した業者や町内会(朝6時集合,ゴミ収集用の「火ばさみ」でなく草刈り用の「鎌」を渡される)で除草し,その度にゴミも撤去される。遊歩道の上に捨てられたゴミは,住民の中で日常的にゴミ袋をもって散歩している人がいてすぐに撤去されている)
  5. 12時より,仙台市施設「澱雨水ポンプ機場」(図3画像左下に表示あり,ここより画像左の上流側は3m以上の洪水浸水想定区域のため浸水域の最下流に,浸水した雨水を排水する「ポンプ場」が設けられている)の管理棟(堤防に接したオレンジ屋根の建物)の窓からホースでテントまで水を引いて「バーベキュー大会(芋煮会)」を開始

他の会場は分からないが,この会場は「大規模駐車場完備」で川沿いを 散策 清掃した後のレクリエーション目的の家族連れが中心で,他の拠点に比べ参加人数が最も多く,ゴミ1袋あたり参加者数もダントツに多い(表1)。

清掃後に200人でバーベキュー大会したら,当然ゴミが出て,それを河川清掃活動で回収したゴミと一緒に回収している「自作自演」疑惑。

水道をポンプ場から引いてきているので,バーベキューだけでなく,芋煮のような「汁物」もあるだろうから,これらのゴミにカウントできない残汁は(芋煮会あるあるの)「持ち帰らず広瀬川に投棄」している疑惑も。

表1 会場別参加者数
表1 2025年4月19日 清掃活動 会場別参加者数,ゴミの数より計算したゴミ1袋あたり参加者数(ゴミ袋の容量不明,パンフレットの「持ち物」に記載のある10L程度のレジ袋?ー図2写真のお父さんの持っている白い袋参照)

となり,「広瀬川1万人プロジェクト」が,県内企業の「似非草の根運動(人工芝運動)」であり,本質は,県内企業の親睦を含めるバーベキュー大会(芋煮会)であると以前は認識していましたが,改めて,このプロジェクトのHPを見て,本当の狙いが

「宮城県などの公共事業入札総合評価制度におけるボランティア活動への参加実績」として,「企業の社会的責任」(CSR)の評価対象にあるのを知って驚愕しました。

図3 広瀬川1万人プロジェクトの正体
図4 広瀬川1万人プロジェクトと企業の社会的責任CSR

上記ホームページ内容をCopilotに要約してもらうと:


広瀬川1万人プロジェクトの公式ページには、以下のように明記されています:

「実行委員会にご加入いただいた団体・企業には,清掃活動への参加実績を証明する資料として,参加証明書を発行できます。」

つまり、実行委員会に加盟していれば、清掃活動のみの参加でも証明書は発行されるというのが正しい理解です。以前の回答では「清掃活動のみの参加では証明書は発行されない」としてしまい、条件の前提(=加盟済み)を明確にしていませんでした。これは誤解を招く表現でした。訂正させていただきます。

📝 正確な条件まとめ:

  • 実行委員会に加盟していることが証明書発行の前提条件
  • 加盟済みであれば、清掃活動への参加のみでも証明書は発行される
  • 加盟していない場合は、清掃活動に参加しても証明書は発行されない

広瀬川1万人プロジェクトに加入しているのは多国籍企業も含む238団体にもおよびます。

「環境保全区域で違法な庭をつくるとどうなるか」のシリーズは,保全率の基準を大幅に満たさない宮城第一高校第2グラウンドの違法工事から,宮城県全体に広がる巨悪が暴かれるような展開を期待しています。

しかしながら,仙台地検は,「広瀬川の清流を守る条例」違反で行った告発に対しては,裏弁護人としての法解釈をして,裁判官による審判を妨げています(「環境保全区域で違法な庭をつくるとどうなるか(2)法の番人」)。

また,現在,「虚偽公文書作成罪」および「虚偽公文書行使罪」での告発を行っています(「環境保全区域で違法な庭をつくるとどうなるか(3)第9条」)が,以前,「建築基準法」違反で行った告発が意図的に放置されたように,今回の告発も,何の処理もされず放置され,2027年3月に時効となる事態を危惧して,これらの記事を書いています。


仙台市は「広瀬川の清流を守る条例」では,宮城県が行った宮城第一高校第2人工芝グラウンド工事で条例を骨抜きにするような仕打ちをする一方,同じ目的(広瀬川の自然環境の保全)をもつ行動計画「広瀬川創生プラン」として,市税をこの企業団体に投入し,偽善的な企業が社会的な責任を果たしているとする活動を支援しています。

この関係は,一方的に,仙台市が宮城県や仙台市の公共工事に係わる民間企業の活動を支援するものだけでしょうか。

逆に,企業から,仙台市長選や宮城県知事選において,見返りに支援があるはずと勘ぐるのは私だけでしょうか。

また,この団体の目的は,企業が社会的責任(CSR)を果たしているのを証明し,入札に適合するのを証明するだけでしょうか。

私には,この団体は宮城県や仙台市の公共工事の入札において,入札業者の「調整」をしたり,入札業者が工事から得られた利益の一部を,自分たちや仙台市,宮城県に環流させるような役割をしているように思われます。

特に,宮城県においては,震災以降,復興特別税による膨大な数の公共工事が行われています。

この団体は,仙台市から広瀬川創世プロジェクトとして支援をうけ,宮城県の公共工事に入札する民間業者に対しては,会員になることを必須とし,宮城県のCSR実績の証明手続きを独占的に代行している,膨大な利権にまみれた団体なのです。

この団体の背後には誰がいるのでしょうか。

今年から,広瀬川1万人プロジェクト秋の清掃活動が,例年9月に行うのが11月に変更になりました。

その理由として,「芋煮会」をするには,まだ暑い9月より,里芋の収穫期以降の10月下旬から11月初旬が適期である(Wikipedia 芋煮会より)ので11月に変更したのではないでしょうか。

さらに勘ぐると,今年2025年は10月24日に宮城県知事選があるので,選挙運動?が忙しくて,清掃活動を知事選の後にしたのではないのでしょうか。


仙台市の「市の鳥」はカッコウだそうです。

仙台市なら伊達家ゆかりのスズメ

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図5 巣箱を利用しているスズメ(2羽ともメス,右:2025年6月まで利用,左:2025年7月から利用ーこれまで見た中で最も美しいスズメ)
図5 (上)伊達家の家紋「竹に雀」ークールだね,Wikipediaより,(下)巣箱を利用しているスズメ(2羽ともメス:左:2025年7月から利用3羽巣立ち,右:2025年6月まで利用通算9羽巣立ち)

か,スズメが嫌なら,渋いけれど,同じく伊達家ゆかりのセンダイムシクイ(仙台虫喰)

図7 センダイムシクイ(https://www.city.sendai.jp/shise/koho/koho/character/sesakukoho/icscasuzume.html)
図6 センダイムシクイ, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=97984573

が適当だと思います。

カッコウは「托卵」ーというか,英語で「育児労働寄生(Brood parasitism)」,つまり,鳥の生活において最も過酷な営巣から子育てを他の鳥にさせる鳥で,実際は労働寄生というのも婉曲な言い方で,カッコウのメスは他の鳥が作った巣(「カッコウの巣」は他の鳥が自分の子育てのために作った巣)に「空き巣」(よくできた言葉だ)に入り,卵1個捨て代わりに自分の卵1個を産みつけ,カッコウのヒナは,里親の卵より先に孵化し,未孵化の里親の卵や,あとから孵ったヒナを背中に乗せて巣の外に放り出し「里親の子を皆殺し」にして,里親が運ぶ食べ物を自分一人で独占し成長します(図7)。

実子を皆殺しにされた里親が自分と似ても似つかないカッコウの雛を育てるのは,孵った雛を間違って自分の子と思ったのではなく,カッコウの仕返しが怖くて育てる(カッコウの雛を育てないで巣を放棄すると,作り替えた新しい巣で育った自分のヒナや自分も殺される)という「マフィア仮説」があり,公共工事の入札や水道民営化も,この仮説が当てはまるのかも知れませんね...

図8 托卵されたカッコウの雛を育てるオオヨシキリ(https://www.city.sendai.jp/shise/koho/koho/character/sesakukoho/icscasuzume.html)
図7 托卵されたカッコウの雛を育てるオオヨシキリ(Wikipediaより

今日官僚・政治家やNPO法人・大企業が無知な市民や零細企業を食いものにする構図の預言は,仙台市の遊歩道の路面に刻まれているのです。

図9 遊歩道の路面に刻まれた市の鳥カッコウ
図8 遊歩道の路面に刻まれた市の鳥カッコウ

環境保全区域で違法な庭をつくるとどうなるか(4)人工芝運動

本ブログ内容を生成AI(Notebook LM)でビデオに変換しYouTubeで公開しました


宮城県が内容虚偽の文書および図画(図1)

宮城県が宮城第一高校第2グラウンド造成にあたり条例第9条第2項の規定により仙台市に通知した文書に添付された図面
図1 宮城県が宮城第一高校第2グラウンド造成にあたり,「広瀬川の清流を守る条例」の伐採の規定および保全率の規定から免れるために作成し仙台市に通知した,内容虚偽の文書に添付された内容虚偽の図画。

を作成して仙台市長に通知し,条例の保全率の規定に違反する人工芝グラウンド

図2 宮城第一高校第2グラウンド
図2 宮城第一高校第2グラウンド(法定の保全率24%以上に対し,実際の保全率は6%以下である)(Google Earthより)

のアスファルト舗装を始めたとき電話し,

「なぜ環境保全区域に人工芝グラウンドを造成するのか」

と聞いたら

「土のグラウンドだと周辺住民から砂埃の苦情が来る」

という答えでした。

これは「人工芝運動」(注1)にあたると思います。

庭ブロのこの記事をお読みいただいている読者のかたは,「人工芝」についてよくご存じであると思いますが,ここで取り上げている「人工芝」は,庭の修景目的に使うものでなく,「運動場(グラウンド)」として使われるもので,そのためには人工芝グラウンドの構造について理解していただく必要があります。

図3 人工芝グラウンドの構造
図3 人工芝グラウンドの構造の模式図(住友ゴム工業 https://hibrid-turf.com/planning/ をもとに作図)

修景的に使う人工芝であれば,図3の②ゴムチップ,④アスファルト地盤,⑤砕石路盤は基本的に不要となります。

人工芝グラウンドで問題となるのは人工芝の上に撒かれているゴムチップで,これがないと,硬いアスファルト舗装の上に人工芝だけ敷いて運動することと同じになり,緩衝材となるゴムチップ(/目砂)層がないと,転倒等を伴う激しいスポーツではグラウンドを安全に利用することはできません。

ゴムチップは人工芝の上に散布(図3は模式図;実際のロングパイル人工芝の長さは40-65mmで目砂,ゴムチップ層の厚さはそれぞれ人工芝長さの1/3程度)されているだけですから,定期的に補充し平坦にしてやる必要があります。

これらゴムチップはプラスチックの人工芝が紫外線や機械的踏圧で経年劣化・分解したマイクロプラスチック(注2)とともに,河川から海洋に流失し,2050年にはマイクロプラスチックの総重量が海洋性生物の総重量を越える,と予想されていて,これらマイクロプラスチックは,食物連鎖を経て,すでに人類を汚染し始めていると考えられています

「広瀬川の清流を守る条例」において環境保全区域に指定されている土地(図1および2)で,

保全区域外に十分建築可能なトイレ,倉庫を,保全区域内の樹木を違法に伐採してまで建築し,

保全区域外も含め「可能な限り広大な人工芝グラウンド」を造成した「宮城県の人工芝運動」の狙いについて考えていきます。

まず,宮城県の人工芝運動の背景には復興特別税があると思います。税の使途は,復興費用及び償還費用とされ,宮城県でも防災インフラ整備とともに,復興市民広場として,「人工芝グラウンド」が各所に整備されていきます。

人工芝は天然芝と比べるもなく

  • CO2排出量(人工芝は製造・施行段階でCO2排出,さらにヒートアイランド化で地温上昇-CO2排出増大の悪循環/天然芝はCO2を吸収,保水力・蒸散作用により地温を低下させる)
  • 環境汚染(人工芝は生物が棲息できない「死のフィールド」,マイクロプラスチックを大量に持続的に河川から海洋に排出し,海洋汚染,海洋生物(~人間)の生命を脅かし,県内産農水産物への食の安全性・信頼制に疑問を抱かせる/天然芝は生物多様性を支え,豊かな自然環境をもたらし,市民生活に憩いをもたらす)
  • 防災性(アスファルト舗装上にプラスチックの人工芝を張ってゴムチップを敷設した人工芝グラウンドは地面の透水性,保水力を大幅に低下させ,特に3m以上の洪水浸水が想定され
    図 洪水浸水想定区域
    図4 宮城第一高校第2グラウンド(図中「3.0m」の「文字列」の上にある)は3m以上の洪水浸水想定区域にある(仙台市のハザードマップより)

    早期の立退き避難が必要である当地においては内地浸水の大きな脅威となり,大規模火災発生時には有毒ガスの発生も考えられる/天然芝グラウンドは植物のもつ保水力および蒸散作用により洪水被害を抑え,火災時には緑の防火壁となり延焼を防ぐ)

  • 教育効果(天然芝は環境を保全し次世代に引き継ぐには知識と費用と労力が必要であることを示す/人工芝は一旦自然環境を破壊してしまうと,犯罪者は処罰され,自然環境を元通りに戻すのが非常に困難になる,という反面教師の意味しかない)
  • 経済性(使い捨ての人工芝は高額な設備費に加えて膨大な維持費(注3)がかかる庭の貧乏神/自己増殖・補修性のある天然芝は適切に管理すると庭は年々豊かになる)

など,すべての点で大きく劣っています。

使い捨てで定期的に貼り変える必要があるのは,知らずに導入した方には後で大後悔するデメリットであるが,売る方にとっては一旦設置させると定期的に収益が確保できるという大きなメリットがあり,ここに利権がある(注4)と宮城県は眼をつけたか,復興特別税を使って行っていた公立高校の耐震補強を含む改築工事の一環として,県立高校のグラウンドの全面人工芝化,を目論見,まず「第一高校」の新グラウンドから「宮城県の人工芝運動」が始まったと考えています。

ただ,宮城県にとって誤算だったのは,第2グラウンドが環境保全区域にあったことですが,仙台市にとっても,市立中学・高校のグラウンドを人工芝にすることは,宮城県と同じメリットがあるので,「許可不要」を連発して,もともと放置(注5)していた「広瀬川の清流を守る条例」を骨抜きにし,宮城県に全面協力しておこなってきた経緯があると考えています。

宮城県による(震災復興を契機としたと思われる)「高校グラウンド全面人工芝化」を目論んだ人工芝運動は,広瀬川の清流を守る条例違反での告発(「環境保全区域で違法な庭をつくるとどうなるか(2)法の番人」参照)で潰えました。

しかしながら,宮城県大郷町の『スマートスポーツパーク構想』(注6)で,実際に「人工芝運動」が行われたことが法廷であきらか(注7)になっているように,食材王国宮城の農水産物の「食の安全」への消費者の信頼をなくすことで,復興を妨げる恐れのある人工芝運動が,今なお続いています。

1974年9月28日「衆知と総力を結集し,市民あげて広瀬川の清流を守ることを決意し」制定された『広瀬川の清流を守る条例』の精神に立ち返り,1990年3月28日 制 定 の 『四万十川清流保全条例 』で示された清流の基本理念

「 清流とは,流水と流水の源である自然環境及び住民生活が適正な調和を保つ状況をいう」

に則り,人工芝グラウンドを廃絶して,消費者の信頼を得る行動を行うことが宮城県には何より求められていると考えます。


(注1) 人工芝運動(Astroturfing)とは,「団体・組織が背後に隠れ,自発的な草の根運動に見せかけて行う意見主張・説得・アドボカシーの手法」(Wikipedia

(注2)広義のマイクロプラスチックの定義には洗剤,柔軟剤,食品添加物,医薬化粧品,肥料,ゴム製品等も含まれ,最大の発生源は,(環境意識の高いEUでは)人工芝グラウンドで継続的かつ大量に使用されるゴムチップであるとされています。

(注3)一般的な高校のグラウンドを人工芝にする費用は約1億3500万円で天然芝より圧倒的に高い。しかも人工芝は5~10年置きに全面張り替えに1億円程度の費用がかかり,さらに,日常的に補充する必要のあるゴムチップの散布・平坦化等の費用としてランニングコストが年間1000万円程度かかるとされており(【必見】高校での人工芝導入!部活動に与える影響から導入費用まで!より),これらの費用が税金から「持続的な環境汚染」のために使われるのです。

しかも宮城第一高校第2グラウンドをみると分かるように,一旦人工芝グラウンドにしてしまうと,土のグラウンドに戻す(天然芝に変える)のがほぼ不可能となり,不可逆的に環境破壊してしまいます。

(注4)宮城県が利権目的で行った最も不条理な事業は2022年4月開始の宮城方式水道民営化事業です。これは,水道設備を県が所有したまま民間事業者に運営させる方式で,水道事業を民間に売り渡したようには見えませんが,水道事業で最もコストのかかる水道設備の維持管理費用は県(民)が負担し,民間は利益が出る部分(水の販売)だけ行って,県民は県税と水道料金で二重に水道料金を支払う方式です。詳細については,移民政策と同じで,とてもここで簡単に論じられる問題ではありませんが,その利権構造について,次回「カッコウの巣の上で」で比喩的に論じます。

(注5)条例を実質的なものとするために最も重要な使命をおびている広瀬川清流保全審議会は,近年保全率の改悪(例えば宮城第一高校第2グラウンドのある第二種環境保全区域では,グラウンド造成前年に保全率が30%から24%に引き下げられている)以外に目立った活動はしておらず,大規模人工芝グラウンドを市長の許可を要する工作物に指定するような,「清流条例」の真価を問われるような見直しは,リーダーシップも使命感も感じられない委員長,学識のない学識経験者,旅行代理店丸抱え(報告書も代理店が作成)海外視察旅行に行って審議会には欠席している市議会議員などからなるメンバーによって一切行われていません(仙台市HPで公開されていた審議会議事録などをもとにした2021年当時の個人の感想です)。

仙台市は1974年制定の,仙台市民にとっては憲法,といわれた「広瀬川の清流を守る条例」を形骸化させ放置する一方,「広瀬川創世プラン」なる実に30年間(2005~2034,10年ずつ3期)にもおよぶ「行動計画」を策定し,市の意向に沿って活動している団体の運動や開発行為を「支援」しています。

(注6)2019年東日本台風で被災した農地にサッカーコート12面(すべて人工芝グラウンド)などを整備するもの。町議会はこれまで「事業費が不透明」などどして予算案を否決(ミヤテレNEWS(2025年2月25日),なおこの背景,つまり,農地を売却したい町側の思惑,については,ミヤテレNEWS(2025年5月17日)で見え隠れしていますが,本質的には,宮城県の水道民営化事業と同じ構図を感じていただけると思います)

(注7)宮城・大郷町が進める『スポーツパーク構想』に反対する議会の解散を問う住民投票に必要な署名の有効性について争われたもので,仙台地裁は「違法署名」14人(60,70代が各1,80代が5人,90代が7人で最高齢98歳)を尋問することを決定(河北新報2025年5月15日)。議会解散を求める署名運動は町が構想に反対する議会を切り崩すため住民運動に見せかけて行った「人工芝運動」と考えられます。