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「広瀬川の清流を守る条例」を無意味なものにしないために

宮城第一高校第2グラウンドは,「広瀬川の清流を守る条例」の定める保全率の規定-第2種環境保全区域内の土地において,1) 河岸線に接し2m幅以上の保全用地を確保(条例施行規則第14条一ハ(1))したうえで,2) 全体として24%以上の保全用地を確保(条例施行規則実施要領第2条)する-を満たしておらず,宮城県が行った開発行為は違法である。

宮城第一高第二グラウンド
宮城第一高第二グラウンド 条例では第2種環境保全区域において24%以上の保全率を必要とするが,アスファルト地盤の人工芝グラウンドであるため実際の保全率は6%以下であり,特に川岸に接する土地において境界から2mは保全率100%を必要とするが,画像手前グラウンド西側の部分は保全率0%である

違法かどうかは裁判官が審判するが,仙台地検は告発をうけても「罪とならず」という理由で不起訴とし,具体的な理由を問い合わせても「答えられない」ということである。

広瀬川の清流を守る条例では,処罰の対象となるのは,「市長の許可を受けずに行った者」(条例第13条)であり,国や地方公共団体については,条例第9条第2項特別規定により,「(市長の許可でなく)通知によって行う」よう規定されており,この特別規定を,仙台地検は,国や地方公共団体は,条例の規定に反する行為を行っても,市長の許可が不要なので処罰されない,とする「法の番人」でなく,「知事の弁護人」としての法解釈を行い,不起訴としていると考えています。

私自身は,第9条第2項の規定は,

市長は,自分自身や市の上位の行政機関である県や国が行う開発行為について「許可を与えない」ことを言っているだけで,

第2項は「市長の許可は不要である」でなく,「前項の規定に『かかわらず』(かな書きのかかわらずは,前項規定を無視(関わらず)するのでなく尊重しなければならないという意味である)...『市長に通知しなければならない』」とあるので,条例の基準に適合しない,「市長の許可が得られない」開発行為を行った場合は,市長への通知をしようがしまいが,第1項の規定の「市長の許可を得ずに行った者」として処罰される。

こう考える理由は,条例では,違反行為を,「保全率の規定に違反した者,伐採の規定に違反した者,…」というように一つ一つ記載せず,「市長の許可を得ずに行った者」という一語で要約しているからで,このような法文を簡潔にするための「違反条項の要約」は,清流条例が参考としたと思われる建築基準法でも,他の法令でも広く行われているからですが,仙台地検によると(検察官の個人としての見解ではない(注)),国や県は,一般事業者と違って,条例の規定に反する開発行為を無制限に行うことができ,罰則もない「超法規的存在である」というのが,「裁判官に判断を委ねるまでもない」法の番人としての正しい解釈であるということのようです。

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(注)2020年10月30日仙台地検に最初の告発をした際,告発担当者から,職業を(内部記録のためと)問いただされ,薄ら笑いを浮かべながら「なぜ,住民訴訟にしないのか,他にも保全率の規定を満たしていない住宅はたくさんある。そちらの方から捜査することになる」と,告発すれば,周辺住民も処罰されるぞ,という脅しともとれる発言があり,おそらく起訴しないであろうという印象をうけました。

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仙台地検が起訴しない限り,宮城県の行った違法と思われる行為について裁判官の審判を仰ぐことはできません。

「広瀬川の清流を守る条例」では,市長,事業者(宮城県知事),市民についてそれぞれの果たすべき責務を規定(第2条,第3条,第4条)しています。

市民としてできる対応は限られています。

宮城県の行った「伐採の規定」違反については,時効が成立している恐れがありますが,「保全率の規定」については,「保全率」は,建ぺい率のような建築時に適用される確認条項でなく,日常的に行われる環境保全のための規定であり,道路交通法でいう「制限速度」と同じなので,違法工作物である人工芝が条例の基準を満たすまで撤去されない限り「違法行為は継続している」

宮城第一高校第2グラウンド 2024年9月22日
宮城第一高校第2グラウンド 2024年9月22日

ので,時効は進行しないと考えます(これも告発人や検察官でなく,裁判官が判断する事項です)。

-----------記-----------

宮城県の行った条例の規定に違反する行為について宮城県が仙台市に条例第9条2項の規定に従って提出した下記の図面をもとに説明する

宮城県が宮城第一高校第2グラウンド造成にあたり条例第9条第2項の規定により仙台市に通知した文書に添付された図面。(この図面は仙台市建設局百年の杜推進課 電話番号:022-214-8327より入手可能)
ファクトチェック!宮城県および仙台市はグラウンド敷地全体(赤枠内)のうち,青枠で「建築物の敷地」と設定した土地以外では,条例で市長の許可を必要とする「工作物の設置」を一切行っておらず(記2),青枠敷地内で保全率30%を確保しているので条例の規定に準じているとしている。この図面は仙台市建設局百年の杜推進課 電話番号:022-214-8327より入手可能,仙台市の文書による公式回答(記2)も百年の杜推進課に確認ください

1)条例では第二種環境保全区域(図の黒線より下(南側)の赤枠内の土地)においては,河岸線に接する部分について幅2m以上の保全用地を確保したうえで,全体として24%以上の保全用地を確保する必要がある。

図の赤枠部分に造成されたグランド外周の塀は「建築物」(建築基準法第2条1号)にあたるので,保全率を計算する母数は,図の赤枠内,黒線より下の部分にあたるが,グランド西側(図左)の河岸線に接する部分においては,全く保全用地が確保されておらず(上の写真参照)全体としての保全率も6%にも満たず条例の規定に反する。

なお,保全率を計算する母数となるのは「工作物に関わる敷地面積」であって,「建築(基準法でいう)敷地」ではない。宮城県は工作物に関わる敷地では,「人工芝」があることから保全率の規定を満たすことができないので,意図的に「建築敷地(図の青枠内)」を条例で定める「工作物に関わる敷地」と偽って通知しているのである。

2)宮城県は,グラウンド東側で前所有者である国によって良好な状態で保全されていた樹木を違法に伐採する目的で,樹木の植わっていた場所に,「旗竿状」の建築敷地(図の青枠)を設定し,トイレ・倉庫を建築するには樹木を伐採するのをやむなし,として伐採したが,グランド外周の塀は「建築物」にあたり(建築基準法第2条1号),敷地は「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物(ここでは,塀,トイレ,倉庫)のある一団の土地」(建築基準法施行令1条1号)と定義されているので図の赤枠の敷地全体となり,本図面は宮城県が行った行為が,「広瀬川の清流を守る条例」に違反しているだけでなく,「建築基準法」にも違反していることを明白に示すものである。なお,伐採を行った場合は,伐採により損なわれた自然環境を回復するため,建築後「代替樹」を植樹する必要があるが,宮城県は,青枠敷地内に,代替樹の植樹(狭溢な旗竿地なので,敷地外周に沿った生け垣および倉庫,トイレの壁面および屋上緑化が必要であろう)を一切行っていない。

-----------記2-----------

上記指摘に対する仙台市長からの回答

宮城県はグラウンド敷地東側の建築敷地(図の青枠内)において条例の規定にのっとり,通知をしたうえで,樹木の伐採を行い,保全率30%の保全用地を確保した開発行為を行っており問題無い。

青枠敷地外に条例で市長の許可を必要とする工作物は設置していない。

当方:人工芝グラウンドは条例で「市長の許可不要の工作物」でないので,設置に許可が必要であり,グラウンド全体の保全率は6%以下で違法である。

仙台市:条例の規定の「許可不要な工作物以外は許可必要」であるとすると,市民には何が許可必要な工作物かわかりにくい。仙台市では,条例の「許可不要なもの以外は許可必要」でなく,「(条例許可申請の手引きにおいて)許可必要と指定したもののみ許可が必要」であるという運用を行っている。人工芝グラウンドは「手引き」において許可必要な工作物でないので,許可不要であり,たとえ保全率0%であっても問題無い)。

当方:人工芝グラウンドが許可不要であっても,グランド外周の塀については建築基準法で定める「建築物」にあたり,条例でも(工作物のなかでも建築物(建築基準法に定めるもの)は設置に市長の許可必要),で「手引き」においても「建築物」は市長の許可が必要である。

仙台市:グラウンド外周にあるのは,(建築物にあたる)「塀」ではなく,「高さ15m以下の鉄柱」と「防球ネット」であり,いずれも許可不要である。

当方:グラウンド外周にある「高さ5mを超える照明灯」は条例では「許可必要」である。

仙台市:グラウンド外周の照明灯は「高さ10m以下の公共のための照明灯」であり許可不要である。(公共のためと言い逃れしているが,グラウンド北,西部の照明灯には,道路側に光が漏れないよう光害防止の「遮光板」がついているので公共のためとはいえない)

当方:工作物の明確な定義は条例本文にも建築基準法にもないが,「人工物のうち,地面に定着したもの」を指すと一般にされている。仙台市が指定した工作物以外は,市長の許可不要で保全率の基準をみたす必要がない,という運用は仙台市長の裁量の範囲を大きく逸脱している。9000㎡を超える当グラウンドにおいて,宮城県が県税や震災復興特別税を使って造成した宮城第一高校第2グラウンド造成工事は環境テロといっても過言でない。市長は市長としての責務を果たすべきである。

仙台市:宮城県は条例の規定に則り,適正に工事を行っている

が市長からの最期の回答となり,市民としての責務を果たすべく告発を行うことにしました。

環境保全区域で家を建てるには(2)

環境保全区域で家を建てる場合,特に外構において気をつけるべきポイントについて,前回の「保全率」に引き続き,「樹木の伐採」について,宮城県知事が広瀬川の環境保全区域内(図1)で行ったグラウンド造成工事における伐採の実例とともに紹介します.

図1 自然崖を形成した広い河床を流れる清流に周囲の緑が映える広瀬川の景観(Google Earthより)
図1 宮城県知事が違法と思われる樹木の伐採を行った(画像中央部)広瀬川第二種環境保全区域の自然.河川沿いの樹木は広瀬川の自然環境を構成する重要な要素であるので,河川沿いの土地には,保全用地を最低でも2m川岸沿いにとらなければない制限,川岸沿いの塀に関しては事前に設置の許可を得なければならない制限の他に,樹木の伐採に関しても厳しい制限があり,伐採を許可されても,「(周囲の自然環境を回復するための)代替樹の植樹等」の保全処置を行わなければならない(画像はGoogle Earthより)

まず,「保全率」の復習から.

「保全率」とは,工作物(建築物および建築物以外の工作物)に係わる「敷地」に対する「保全用地」の割合をいいます.

「保全用地」とは「自然的環境の保全のために確保されている土地」(条例施行規則第14条第1項一ロ(1))のことで,裸地(らち,草木が1本もない土地)の他に植物が植わっているか(すぐに)植えられる状態の土地をいいます(図2).

図2 保全用地とは(条例環境保全区域のあらまし,2018年6月版をもとに作成)
図2 保全用地とは(広瀬川の清流を守る条例,環境保全区域のあらまし(2018年6月版)をもとに作成)

土地が出来たばかりのときは裸地(図2左)の状態ですが,時間とともに,草原,樹木の生えた土地(図2右)となります.

開発が制限されている環境保全区域で家を建てるには,

  1. 環境保全の基本である「保全率」の規定をみたす(図3 空地(保全用地)のルール)だけでなく,
  2. 工作物(建築物や,駐車場や通路などの建築物以外の工作物)の築造のために,「樹木の伐採の許可」を得る必要があります.

(この他にも工作物の色,高さ等の規定もあります)

仙台市,環境保全地域による許可基準のあらまし(旧版の記述).2019年11月に,この,○土のままで30%以上確保,×(舗装は不可),の記述を削除
図3 広瀬川の清流を守る条例,環境保全区域のあらまし(2018年6月版)より.

伐採の許可基準は,土地の状況(河川に接している土地かそうでないか,など)や,環境保全区域によって異なります.


それでは,宮城県知事が 2020年度に行った宮城第一高第二グラウンド造成工事における伐採に関して,工事前(図4)後(図5)の土地の変化から見てみましょう.

図4 税務大学時代の敷地.校舎は第2種環境保全区域外の北側敷地内に建築して第2種環境保全地域に関しては保全率はほぼ100%.
図4 宮城県がグラウンド造成工事を行う前.第2種環境保全区域内(ピンクの帯の内側)に関しては保全率100%.グラウンド南東部に15m以上の高木が多数ある(図1参照).(仙台市都市計画情報インターネット提供サービスの地図をGoogle Mapの衛星写真に重ねて作成)
図5 宮城県が行ったグラウンド造成工事.グラウンド南東部の樹高10m以上の樹木(図1参照)を建築物を建てることで伐採し,代替樹は南側の川沿いの既存保全用地中央部に5本,東側に2本,樹高2m程度の樹木を植樹したが,図の灰色で示す従来土のグラウンドとして保全されてきた用地(図4)ほぼ全面をアスファルトで舗装して「植物が育たない不毛の土地」にし,第2種環境保全区域内(図中の黒線より南側)に関しては保全率6%以下で保全率の最低基準の24%に大幅に不足した「違法グラウンド」を造成した.(仙台市に情報開示を請求して得た敷地構成図をGoogle Mapの衛星写真に重ねて作成)
図5 宮城県が行ったグラウンド造成工事.グラウンド南東部の樹高10m以上の樹木(図1参照)を建築物を建てることで伐採し,代替樹は南側の川沿いの既存保全用地中央部に5本,東側に2本,樹高2m程度の樹木を植樹したが,図の灰色で示す従来土のグラウンドとして保全されてきた用地(図4)ほぼ全面をアスファルトで舗装して「植物が育たない不毛の土地」にし,第2種環境保全区域内(図中の黒線より南側)に関しては保全率6%以下で保全率の最低基準の24%に大幅に不足した「違法グラウンド」を造成した.(仙台市に情報開示を請求して得た敷地構成図をGoogle Mapの衛星写真に重ねて作成)

人工芝グラウンドを築造するために,グラウンド敷地ほぼ全面をアスファルト舗装したことで,保全率の規定(24%以上)を大幅に満たしていない(6%以下)違法グラウンドであるのはすでに述べたとおりです.

条例では,グラウンド造成工事を行った敷地のうちの,第二種環境保全区域(6581.90㎡)では3m以上の樹高の(伐採面積が10㎡以上の場合は一切の)樹木は許可なく伐採できず,伐採できる条件を条例施行規則第14条第七項で以下のように(図6)定めています.

図3 木竹の伐採が認められる場合(条例施行規則第14条第七項)
図6 木竹の伐採が認められる場合(条例施行規則第14条第七項.二では学術目的で伐採できるとあるが省略)

この規則では,1行目の,ただし書き以下で「市長が土地の利用上やむを得ないと認めれば,伐採できるとあり」やむを得ないと認める場合を条例施行要領等で明文化しているわけでないので,「市長が認めれば何でもあり」,ですが,宮城県や国が申請する場合,市長の「許可」を得るのでなく,(自分で違法行為にあたらない事を確認のうえ)「通知」することになっており,市長の許可の規定は使えなく(条例第9条第2項),伐採を行うには,イ~二の規定に該当するものとして通知する必要があり,イ,ハ,ニは摘要外ですので,宮城県は

ロの赤下線部 「著しい不整形その他の理由により木竹を伐採しなければ土地の有効利用が図れない場合」

を根拠として,図面上自由に設定できる「建築敷地」を「旗竿地」にして「不整形」を理由(環境保全区域外で伐採なく保全率の制限もなく建設できる更地になっている土地を「旗竿地の竿」の狭い通路に設定して建築できないとし,建築するには,環境保全区域の「旗竿地の旗」の部分の樹木を伐採する必要がある)に伐採の通知をしたとみられます.

この件について,「伐採目的で建築物をこれまで保全されてきた保全緑地内に建てて環境破壊した極めて悪質な行為である」と仙台市長に指摘してきましたが,仙台市長は「建築物をどこに建てるかは事業者の自由であり,他に十分な敷地をもっているとしても,それはプライバシーに属することであるので,そちらに建てるようにとは指導しない.「やむを得ない事情がある」とすれば,伐採は認められる」と回答して平行線をたどっておりましたが,条例施行規則を読みなおすと,伐採の条件として,(図6緑下線

代替樹の植樹等の代替措置が講じられていること

となっておりますが,伐採を申請した建築物に関わる敷地(図5青枠内)に代替樹の植樹,生垣の設置,壁面緑化,屋上緑化等の代替措置が全くとられておらず(図7),違法な伐採となると思われます.

以前の税務大学校の校舎のように,条例に従って川岸と反対の道路側に設置すべき建築物であるトイレと倉庫を,樹木(下の画像参照)を違法に伐採して更地化して保全緑地内に設置して環境破壊,2020年11月28日
図7 伐採した後に建設されたトイレと倉庫.壁面緑化,屋上緑化,生垣植樹等の現地の自然的環境を回復する行為は一切行っておらず,伐採に続いて,「さらなる環境破壊」を行って放置している.

注1 変形地(狭小地)の場合は,保全用地が限られており,敷地内に伐採した樹高10m以上の高木になる樹木を植樹できないので,敷地境界全周への「生垣」造成,「壁面緑化」および「屋上緑化」等により保全用地を増大させるとともに緑化面積を補償しなければ自然回復とならない.


条例の抜け穴を探して,違法行為をしようとしても,違法性を指摘されると,刑事罰に問われ,原状回復できない場合は,刑務所に入ることにもなりかねません.

これから環境保全区域で家を建てようとするかたは,法令に対して十分な知識と理解が必要となります。

この「環境保全区域で家を建てるには」に関しては,さらに記事を追加する予定です.

滅びつつある広瀬川の自然

<広瀬川の自然を壊すもの>

宮城県が2020年夏に,広瀬川角五郎地区の第2種環境保全区域である税務大学校仙台研修所跡地において,これまで数十年以上にわたって保全されてきた自然環境を,アスファルトでほぼ全面舗装して破壊したうえに人工芝を施行して作った,宮城第一高第2グラウンド(総敷地面積9235.05㎡)について紹介します。

宮城第一高第二グラウンド
図1A.宮城第一高第2グラウンド(アスファルトで全面舗装した上に人工芝を施行した「広瀬川の清流を守る条例」の保全率の規定等に違反する人工グラウンド).2020年11月28日撮影

このグラウンドは,人工芝によって一見,保全率(環境保全区域において,土のままで植物が植わっているか植えられる状態の自然環境を残した土地が敷地全体に占める割合)の規定24%を満たしているようにみえますが,人工芝は植物でなく,世界各国で削減に取り組んでいる環境負荷の大きい使い捨てプラスチックであり,しかも人工芝は土の上に直接施工されているのでなく,土のグラウンドをアスファルトで舗装したうえに施工されているので,


宮城第一高第2グラウンドの実際の保全率は6%以下で,この点だけでも,広瀬川の清流を守る条例保全率24%以上)に違反する「違法グラウンド」です。

図1B 宮城第一髙第2グラウンド(衛星写真,9235.05㎡)の南側(画像下側)2/3以上6581.90㎡は保全率24%の第二種環境保全区域にあるので,その約1/4を保全用地として確保する必要があるが,実際の保全用地(画像で木が植わっている土のままの土地)は6%にも満たず,このグラウンドは広瀬川の清流を守る条例に違反する違法グラウンドである(Google Earth©より)。
図1B 宮城第一髙第2グラウンド(衛星写真,9235.05㎡)の広瀬川に接する南側(画像下側)6581.90㎡は保全率24%の第二種環境保全区域にあるので,その約1/4を保全用地として確保する必要があるが,実際の保全用地(画像下端で木が植わっている土のままの土地)は第二種環境保全区域にある土地の6%にも満たず,このグラウンドは広瀬川の清流を守る条例に違反する違法グラウンドである(Google Earth©より)。

違反条項

国の機関又は地方公共団体が環境保全区域において建築物その他の工作物の新築等を行う場合,条例第9条第2項の規定により,あらかじめ市長にその旨を通知しなければならず,通知なく工作物の新築を行った場合,条例第9条第1項の規定に違反することから,条例第19条(1)において5万円以下の罰金に処する旨を規定。

(条例では,保全率の規定違反や,樹木の伐採の規定違反など個々の違反条項に対して罰則を設けているわけでなく,個々の条項に反する行為を(条例において最も重い責務を負っている)市長の許可を得ずに行った行為として罰則を設けています)

違反事実(証拠)

宮城県は条例の規制に関わる第2種環境保全区域(6581.09㎡)において,広さ6000㎡超の人工芝グラウンド,高さ2 m超の境界塀,高さ5 m超の防球塀(*),高さ5 m超の照明灯(図2)(**),トイレ,倉庫などの工作物を築造したが,総敷地面積9235.05㎡の92%相当にあたる8465.46㎡の建築物の敷地以外のグラウンド部分(図3赤枠内全体面積9235.05㎡のうち同図青枠内建築敷地769.3㎡を除いた部分)の人工芝グラウンド,塀,照明灯等の工作物の新築(図2)に関して,条例第9条第2項で定められた市長への通知をすれば

1.「工作物に関わる敷地」の保全率が規定の24%を大幅に下回る6%以下になり(図1B,図3)

2.河川に接する土地においては河川から最低2mの部分を保全用地とする規定にもグラウンド西の河川側人工芝が直接河川に接している部分は基準を満たさない(図1A写真手前のアスファルト地盤人工芝部分,図1B写真下左の保全用地が途切れている部分)

ために人工芝グラウンド等の工作物の設置に関する通知を行わなかった

また,

3.建築物(トイレ,倉庫)の敷地図3青枠内)の変形(旗竿地)を理由として建築のため(※)に保全区域内の樹木の伐採を行ったが,条例で定められた,当該「建築物の敷地」において自然的環境を回復するための代替樹生垣の植樹,壁面緑化屋上緑化等の措置を一切行っておらず,

この点においても条例第9条の規定に違反している。

※2022年3月補足注: 宮城県は2021年度,図3北東部角に「部室」と称する建築物を造成したが,本来「トイレ」「倉庫」などの当初建設した建築物「部室」と同じ敷地北東部の環境保全区域外に建設すべきで,グラウンド造成時に「トイレ」,「倉庫」を環境保全区域内に先行建設し,翌年度に建設時期をずらして部室」を建設したのは,建築を理由とする樹木の違法伐採が目的であったことを明白に示している。

さらに,

4.トイレの屋根の(図1B参照)に関しても,基準外の色相(5RP)と彩度(10以上条例に適合していないと思われる。

注*:宮城県は高さ 5 m超の防球について,これは高さ15m以下の鉄柱防球ネットであり,通知の必要な工作物(塀)ではないとしている。なお,条例では高さ15m以下の鉄柱であっても,災害時等以外通知が必要な工作物である。

注**:宮城県は高さ5 m超の照明灯に関して,これは公共のための照明灯であり,通知の必要な工作物(公共のためでない照明灯)ではないとしているが,この照明灯には図2にみえる(クリックして拡大)ように,公共スペースのグラウンド外に光が漏れないように遮光板が設けられている。なお,条例では公共のための照明灯であっても,災害時等以外通知が必要な工作物である。

補注:保全率工作物の敷地(分母)に関わる「保全用地」(分子)の割合を示すもので,宮城県がグラウンド周辺の「塀」「照明灯」(図2)「工作物」であると認めると,アスファルト地盤の「人工芝グラウンド」工作物でないとしても,これらの照明灯工作物の敷地を規定して実際に確保されている保全用地だけでは保全率の規定違反となるので,人工芝グラウンドに加えて,グラウンド周辺の照明灯工作物として認めておらず,通知を行っていない。宮城県が本グラウンドで工作物として認めて通知しているのは,敷地内で事業者が(建ぺい率等の基準を満たす限り)自由に設定できる,図3青枠内の建築敷地(建築に関わる敷地)の建築物(および建築物に関わる工作物だけである。

図2 宮城県が第2種環境保全区域内で通知することなく築造した,人工芝グラウンド,塀,照明灯,などの工作物
図2 宮城県が第2種環境保全区域内で通知することなく違法に築造した,人工芝グラウンド,塀,照明灯などの工作物(河川に沿った塀全て,高さ5m超の防球塀,高さ5m超の公共スペースへの遮光板つきの照明灯は,条例で「許可不要」とされている工作物以外はすべて「許可必要」とすると,市民にわかりにくいので,市が条例とは別に「許可必要」な工作物のみを指定し,それ以外の工作物(人工芝グラウンドなど)はすべて「許可不要」としている,ゆるい仙台市の規準でも「許可(通知)必要」な工作物である。
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図3 宮城第一高第2グラウンド敷地図(仙台市に請求して入手)。建築敷地(図中青枠内)以外の工作物について通知すると保全率が法定の24%をはるかに下回る6%以下になることから,宮城県は第二種環境保全区域に関わるグラウンド部分の工作物(図2および実際の衛星写真図1B参照)の築造にあたって通知を行わず,建築物の敷地部分(青枠内)の建築物および工作物のみを通知し,建設敷地部分の保全用地(緑色)の保全率が185.73/609.35=30%をもって条例の規定に適合しているとして,保全用地面積185.73㎡と図中に緑色で塗りつぶして表示しているが,この図は総敷地面積の2/3以上が第二種環境保全区域にある当グラウンドにおいて,「青枠内建築物敷地以外には保全用地をとっていない」ことを明示しており,図らずも違法性を自ら認めているものである。
図4 宮城第一高第二グラウンドが条例の規定を満たさない違法グラウンドであることを一目瞭然に示す市民向けパンフレット2018年版の図。アスファルト地盤の人工芝グラウンドは駐車場と同じで保全用地にあたらない。また,保全用地は河川に沿った土地では,図左に示すように,河川全面に沿って24%以上確保しなければならない。なお,図の「空地」とは「保全用地」をさし,「空地のルール」は「保全率の規定」をさす。保全率は当グラウンド施工時は24%に緩和されている。同図をもとに仙台市に違法性を指摘したところ,仙台市は同図をパンフレットから削除した。(条例許可申請の手引き2018年6月版p.3より)
図4 宮城第一高第2グラウンド(図1~図3参照)が条例の規定を満たさない違法グラウンドであることを一目瞭然に示す市民向けパンフレット2018年版の図。アスファルト地盤の人工芝グラウンドは駐車場と同じで保全用地にあたらない(図右×)。また,保全用地は河川に沿った土地では,図左○に示すように,河川全面に沿って最低2m幅で環境保全区域内の土地の24%以上確保しなければならない(図1B参照)。なお,図の「空地」とは「保全用地」をさし,「空地に関するルール」は「保全率の規定」をさす。保全率は当グラウンド施工時は24%に緩和されている。同図をもとに仙台市に違法性を指摘したところ,仙台市は同図をパンフレットから削除した。(条例許可申請の手引き2018年6月版p.3より)

解説

宮城県は条例第9条第2項で規定される地方公共団体にあたり,工作物の築造等の条例の規制に関わる行為を環境保全区域において行うには,市長の「許可」でなく市長に「通知」を行う必要があります。

この規定は一見,市民や民間業者に比べて県や国に甘いように見えますが実際は逆で,市に対して優位にたつ県や国が市に圧力をかけて許可基準に満たない開発行為を行うことを認めない厳しい規定になっており,許可基準は市のパンフレットである条例許可申請の手引き旧版はこのグラウンドの違法性を一目瞭然に示す図ー上に図4として示すーがあるため仙台市が抹消し,この図を無くした新版に改訂)によるものでなく,条例条例施行規則条例施行規則実施要領の条文によってのみ規定されます。

条例条例施行規則第12条により「許可を要しない行為」のみ規定していますが,仙台市は,「許可を要しない行為以外はすべて許可を要する」という条例の解釈では許可が必要かどうか市民にわかりにくい,という理由で「許可を要する行為」のみを条例許可申請の手引きに記載し,それ以外の行為であれば保全率が0%になる行為でも許可不要と条例の自然環境保護の趣旨から逸脱した違法な条例の運用を行っています。

例えば人工芝グラウンドは,

  1. 仙台市のいう「許可を要する工作物」でないので,市民や民間業者等が造成する場合は,グラウンド部分を許可不要として,それ以外の部分の建築物と市が条例許可申請の手引き9ページに記載した工作物のみの許可を受ければ,グラウンド部分の保全率が0%で敷地全体の保全率が規定の条件を満たしていない場合でも無許可の築造で処罰されることはありません(注1)が,
  2. 条例の規定では,人工芝グラウンドは条例施行規則第12条に記載されている「許可を要しない工作物」でないので,宮城県が環境保全区域で人工芝グラウンドを造成するには「通知必須」となり,通知なく行えば,許可なく築造を行ったことになり条例第9条第1項の規定により処罰されます(注2)。

注1:違法かどうかは裁判官が決めますので,条例において最も重い責務を負っている仙台市長が違法でないとして告発しなくても,市長とともに広瀬川の自然環境を守るべき責務のある市民や,環境保護団体等の告発・通報により捜査の対象となり,裁判で有罪となり処罰される場合があります(注3)。

注2:違法かどうかは裁判官が決めますので,条例において最も重い責務を負っている仙台市長が(県(知事)に遠慮して,あるいは県(知事)からの恫喝や圧力で)条例違反を告発せず,市長とともに広瀬川の自然環境を守るべき責務のある市民や,環境保護団体等も社会的不正に気付かない,または気付いても無関心で告発・通報しない場合,処罰されない場合があります(注3)。

注3:裁判以前の問題ですが,捜査権のある警察・検察が通報・告発をうけて捜査したとしても,検察が不起訴とした場合は裁判官の判断を仰がれることもなく,犯罪と思われる行為が放置されることになるのです。したがって,検察官は裁判官より強い権限をもっているのです。

仙台市や宮城県はレジ袋有料化などの環境保護の取り組みについてはホームページ等で広報していますが,自身は,レジ袋のお化けのような,使い捨てプラスチックの人工芝グラウンドを違法に造成し,マイクロプラスチックや人工砂(人工芝上に散布される産業廃棄物(古タイヤや建築廃材)等から作った緩衝材)による河川・海洋・大気汚染や温室効果ガスの排出を増大させ,人類全体への犯罪である地球環境破壊を行っています。

宮城第一高第2グラウンドは,宮城県と仙台市が共同で,県税を使って,環境保全区域にある次世代を担う若者の教育の場で行っている,反社会的な地球環境破壊活動の象徴なのです。

環境保護は地球全体で早急に取り組むべき課題であり,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に17ある開発目標11番目から15番目にあたります。

仙台市には,SDGs に40年以上先駆ける1974年9月に「…衆知と総力を結集し,市民あげて広瀬川の清流を守ることを決意」して制定された「広瀬川の清流を守る条例」という素晴らしい環境条例があり,条例をスローガンで終わらせず,実のあるものとする第9条の規定(民間の行為を規制する第1項および,行政の行為を規制する第2項)がありますが,この条例において最も重い責務を負う仙台市長や,警察・検察といった法の番人の,自身や自身の所属する組織の利益を守るための意図的な不作為により,条例が葬り去られ,司法制度が崩壊し,市民の未来が奪われようとしているのです。