寒い2月も終わりに近づきました。風は冷たくほほを打ち我が家の庭もひっそりと春待ち顔です。
それでも少しずつ春が近づいていることを花々は教えてくれています。
庭の餌台には大きなヒヨドリが一番手でやってきますが、雀もおどおどしながらも餌を食べに来て
います。気が付くと餌はすべてなくなっています。2月の花々をご覧ください。
11月も終わり近くなり1年の速さを感じます。
我が家の愛犬「こむぎ」は12月でまる19歳になります。人間でいえば90歳を越した老犬と言えましょう。犬付き合いが悪くて家族以外はあまりなつきませんが、とてもやさしくて律儀な犬です。犬慣れしないのは捨て犬であったからかもしれません。目も悪くなり、この頃は散歩も家の周りだけで後ろ脚の筋肉が弱っているため餌を食べる時、後ろ脚が滑ってしまいます。寝ていることが多くなり立ち上がるのも大変そうです。毎日愛犬「こむぎ」を抱いて庭の景色を見せてあげると嬉しいのか私の顔をペロリと舐めます。以前はうれしいときは猫のようにゴロゴロと感情を表現しましたがこの頃はできなくなりました。家の中でそそうをすることも多くなりました。しかし、家族として、どんなに癒されたかしれない愛犬です。別れの覚悟はしなければならない時期に来ていますが、今日も庭の花を見せることができました。
11月の我が家の庭に咲く花々をご覧ください。
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猛暑が終わるころになると夕方から早朝にかけ咲きだすのが「夕顔」です。ちなみに、この夕顔は「源氏物語」に出てくる夕顔とは違い明治になり外国から輸入された花だそうです。純白で大輪に咲く花です。一度見たら記憶に残る花と言えましょう。その香りはほんのりと気高さがあって宵闇に見る夕顔は息をのむような美しさで魅力的な花です。毎年、夫が種を傷つけ5月に蒔き本葉が出ましたら近所の花好きな方々に差し上げています。花好きなうちのおひとりで、とても夕顔の好きな花友達がいました。花の香りを掌で包むように顔を着けて花を愛おしんでいた様子が思い浮かびます。花を通し生活や今の自分の思いを互いに語る楽しい時間がありました。その友が突然60代の若さで亡くなられました。突然のことで信じられない思いが続いています。しかし、現実は会えない、語れない寂しさを知らせています。そんな思いを心に飲み込んで今年の夕顔を眺めています。美しさと寂しさ、そして生命のはかなさを感じる9月に夕顔は咲いています。
猛暑の夏は植物たちもくるしげですが、それでも夏の宵から翌朝にかけて酔蝶花は鮮やかに咲きました。そして風蘭が 木陰で涼やかに咲き見るたびに心が踊ります。西洋蘭のように華やかではないなりにさらに美しさの余韻が残ります。
7月の花

夏空の綿雲やイワシ雲が見えなくなる頃
酔蝶花は夕闇から夕闇へと
手を広げるように咲いています
酔蝶花は深い闇の伝説を語るように
どこからか吹いてくる風のそよぎに
微かな香りを混じらせていきます
すると大分過ぎてしまった時計がまわりだし
消えていた私の悲しさや
淋しさの匂いが
酔蝶花の傍らに漂い始め
あの時の後ろ姿がひとしお蘇ってきます
故郷を離れた夜の深い哀しみ
行き先の不安を感じるような
全山を包む漆黒の中
無情なほど進むことを拒んだ山霧
あの時の峠が迫ってきました
夜はひっそりと心の波紋を広げていきます
今宵の月明かりは
ひらりと昼間を飛び越えて
ひらりと過去を押しやって
夜は静かにたゆたゆと流れています
酔蝶花の蜜を吸うように
虫たちが飛びかい命をつないでいます
いくつもの思いを背負った私の心歌は
命をつなぐことはできたのでしょうか
私の眼の奥で
揺れている私の道すがらを
酔蝶花は夜のやさしさで包んでいます

フェルメール・ブルーに咲いた
あじさいは
限りなくやさしい水面の鏡のようです
見上げると雨上がりの虹が
青空に橋をかけています
下り坂の私の風景にも虹が見えると
神様が虹を渡ると思えるほどの
無邪気なひとときが流れます
通り過ぎた風景をはかるように
日常の針を動かすと
生きるために呑みこんだあまたの感情が
虹色の付箋を付けて私の物語ににじんでいます
まいまいつぶりが
私の心を描くようにあじさいに揺れています
今日の愛おしさを小さな虹にして
コーヒーに溶かしてみたくなりました
怖さも悲しみも知らないころ
父が撮ったモノクロ写真
弟と私は
つるバラの前で笑っています
薄くルージュを引くころになると
哀しみを知りました
別れがありました
私の心はがらんどうのまま
赤いつるバラをすっかり忘れていました
私にとって忘れることが生きることでした
バラを漢字で薔薇と書こうと思ったころ
風景が少し動きだしました
私と夫の手にぶら下がり
見上げる幼子の問いかけに
愛おしさが溢れだし
私の風景は穏やかに弾み
バラを花瓶に活けるようになりました
今は巣立った子供たち
残された時間
鮮やかに咲いたバラの前で
呑みこんだ時間をまさぐるように
また弟と並んで写真を撮りました
バラの輝きとまぶしさに
二人とも心はゆらゆら揺れて
いつか消えていく命を覚悟しながら
照れ笑いをした二人の影法師は
あのときのモノクロ写真にかさなり
バラの香りは遠い記憶をやさしく包んでいます