月別アーカイブ: 2022年7月

酔蝶花

酔蝶花(すいちょうか)がそして涼しげに風蘭も咲きました。

 

猛暑の夏は植物たちもくるしげですが、それでも夏の宵から翌朝にかけて酔蝶花は鮮やかに咲きました。そして風蘭が 木陰で涼やかに咲き見るたびに心が踊ります。西洋蘭のように華やかではないなりにさらに美しさの余韻が残ります。

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酔蝶花

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酔蝶花

 

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7月の花

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logo-suityouka                         高安ミツ子


酔蝶花

夏空綿雲やイワシ雲が見えなくなる頃
酔蝶花は夕闇から夕闇へと
手を広げるように咲いています

酔蝶花は深い闇の伝説を語るように
どこからか吹いてくる風のそよぎに
微かな香りを混じらせていきます

すると大分過ぎてしまった時計がまわりだし
消えていた私の悲しさや
淋しさの匂いが
酔蝶花の傍らに漂い始め
あの時の後ろ姿がひとしお蘇ってきます

故郷を離れた夜の深い哀しみ
行き先の不安を感じるような
全山を包む漆黒の中
無情なほど進むことを拒んだ山霧
あの時の峠が迫ってきました

夜はひっそりと心の波紋を広げていきます
今宵の月明かりは
ひらりと昼間を飛び越えて
ひらりと過去を押しやって
夜は静かにたゆたゆと流れています
酔蝶花の蜜を吸うように
虫たちが飛びかい命をつないでいます

いくつもの思いを背負った私の心歌は
命をつなぐことはできたのでしょうか
私の眼の奥で
揺れている私の道すがらを
酔蝶花は夜のやさしさで包んでいます